「就労移行支援を利用しながら障害年金はもらえるの?」と疑問をお持ちではないでしょうか。就労移行支援と障害年金の併用が可能かどうかは、多くの方が気になるテーマです。生活費のこと、収入制限のこと、将来への不安……。この記事では、そういった疑問や不安にひとつひとつ丁寧にお答えします。
就労移行支援を利用しながら障害年金はもらえる?基本的な答え
結論からお伝えすると、就労移行支援と障害年金の併用は基本的に可能です。就労移行支援はあくまで「訓練・準備の場」であり、収入ではないため、障害年金の受給資格に直接影響することはありません。
ただし、いくつかの条件や注意点があります。「障害年金が就労によって止まってしまわないか」「就労移行支援に通いながらお金の面で生活できるのか」という不安を持つ方は多く、正確な情報を知っておくことがとても大切です。
障害年金とは?簡単におさらい
障害年金とは、病気やけがによって生活や仕事に支障が出たときに受け取れる公的な年金制度です。大きく分けて以下の2種類があります。
- 障害基礎年金:1級・2級があり、2024年度の年額は1級が約102万円、2級が約81万円
- 障害厚生年金:1級・2級・3級があり、過去の厚生年金加入歴によって金額が異なる
障害年金は「働けないこと」が条件ではなく、「障害の状態が一定以上であること」が支給の基準となっています。そのため、就労移行支援に通いながら受給を続けることが認められているのです。
就労移行支援と障害年金を併用する際の注意点
就労移行支援と障害年金の併用は可能とはいえ、いくつかの点に気をつける必要があります。
①障害の状態が変わると年金額が変わることがある
障害年金は、定期的に「障害状態確認届(更新)」が行われます。就労移行支援での訓練を通じて体調が回復・安定してきた場合、障害の等級が見直される可能性があります。等級が下がると年金額が減額されたり、支給停止になるケースもあります。
これは就労移行支援を利用していること自体が原因ではなく、あくまで「実際の障害の状態」が基準になります。就労移行支援に通えているイコール「障害が軽くなった」とは判断されませんが、主治医との連携を密にしておくことが重要です。
②就労移行支援の「工賃(賃金)」は原則なし
就労移行支援は就労継続支援A型・B型とは異なり、基本的に利用者への工賃(賃金)は発生しません。つまり、就労移行支援に通うこと自体で「収入が増える」ことはなく、障害年金の収入制限に引っかかる心配は原則ありません。
ただし、就労移行支援の中で短時間のアルバイトや職場実習(有償)を行う場合は、収入として扱われることがあります。この点は支援員に事前に確認しておきましょう。
③障害厚生年金3級の場合は「支給停止の基準」に注意
障害厚生年金3級の場合、「障害の状態が3級に該当しなくなった」と判断されると支給が停止されます。就労移行支援での訓練の成果が出てきたとき、特に更新のタイミングで注意が必要です。事前に年金事務所や支援員に相談しておくと安心です。
就労移行支援を利用中の生活費はどう工面する?
就労移行支援と障害年金の併用について理解できたところで、「実際の生活費はどうすればいいの?」という疑問が出てくると思います。就労移行支援のお金・生活面での不安は多くの利用者に共通しています。
活用できる主な収入・支援制度
- 障害年金:前述のとおり、就労移行支援と障害年金の併用が可能。月6〜8万円前後が目安(等級・種別により異なる)
- 生活保護:障害年金だけでは生活が難しい場合、生活保護との併用も可能(年金分は収入認定される)
- 特別障害者手当・各種自治体手当:お住まいの市区町村によって独自の手当が受けられる場合がある
- 家族からの支援:就労移行支援の利用料は前年度の世帯収入によって異なり、多くの方が月0円〜9,300円の範囲に収まる
就労移行支援の利用料自体は、住民税非課税世帯であれば自己負担が0円になるケースが多く、生活費への影響は比較的少ないといえます。
就労移行支援と障害年金の併用で生活している方の例
たとえば、統合失調症で障害基礎年金2級を受給しているAさん(28歳)のケースを見てみましょう。
- 障害基礎年金2級:月額約6万8,000円
- 就労移行支援の利用料:住民税非課税のため0円
- 交通費補助:自治体の障害者向け交通費助成を活用
- 生活費補助:家族と同居し、食費・家賃を抑えている
このように、就労移行支援と障害年金の併用に加えて、自治体の支援制度をうまく組み合わせることで生活を安定させている方は少なくありません。
障害年金の受給を続けながら就職するとどうなる?
就労移行支援を経て就職が決まった後も、すぐに障害年金が止まるわけではありません。就職後も障害の状態が続いている場合は、引き続き受給できることがほとんどです。
ただし、就労の状況(勤務時間・収入)が更新審査に影響する場合があります。就職後も主治医や支援員と連携し、受給継続の手続きを正しく行いましょう。就労移行支援と障害年金の併用のノウハウは、就職後の年金管理にも活かせます。
まとめ
就労移行支援と障害年金の併用についてまとめると、以下のポイントが重要です。
- 就労移行支援と障害年金の併用は基本的に可能で、就労移行支援の利用が受給停止の直接の原因にはならない
- 障害年金は「働けないこと」ではなく「障害の状態」が支給基準なので、訓練に参加しながら受給を続けられる
- 定期的な更新審査で障害の状態が変わると、年金額や等級が見直される可能性がある
- 就労移行支援では原則として工賃が発生しないため、収入制限を気にしなくてよいケースがほとんど
- 生活費の面では、生活保護・自治体手当・家族支援などを組み合わせることで安定を図れる
「就労移行支援と障害年金の併用について、もっと詳しく知りたい」「自分の場合はどうなるか相談したい」という方は、ぜひ近くの就労移行支援事業所や年金事務所、あるいは相談支援専門員に気軽に相談してみてください。一人で悩まず、専門家のサポートを活用しながら、安心して一歩を踏み出しましょう。
